おすすめ
僕は誰かを食事に誘うとき、まずは相手のことを考えて店選びを行っている。
個人的に隠れた名店のようなパッとしない店が好きなため、ネットの情報などでは店を選ばない。どちらかというと自分でその店を訪ねてから選ぶようにしている。そのため、初見で人に勧めるようなリスキーな真似はしない。
また、人によってはにんにくが強めの店でも逆ににんにくが好きな人もいるわけであって、その子に合うかどうかってのは一種の賭けみたいなものもある。
まあ、自分が食べたいものでも良いのだろうが、折角だから、互いにいい気分で美味しいものを共有できるならば、自分が食べたいものというよりも相手の食べたいものを選びたいし、それがもしその通りであれば、こちらとしては満足である。
まあ、そんなことを考えながら店を検討し、絞りさらに相手に選択権を与えるのが僕のいつもの誘い方なんだが、最近では少し悩ましいなと思うことがある。
最近ではネットが普及しているため、食べログのレビューにより店の評価を見ることができる。
例えばこのような出来事はないだろか?
あるとき、男は女の子を食事に誘おうと思い、電話で連絡を行った。
「おすすめの店があるんだ、今度一緒に食べに行かない?」
もちろんこのタイミングでは、誘う店も決まっていた。
「え、いいよ!なになに!?どこにいくの?」
相手も興味津々である。
「最近出来た店なんだけど、その店のラザニアが美味しいんだ!しかもワインも美味しいの置いてるし、バルみたいな感じでさ。この前ふらっと行ってみたんだけど、すっごく良かったんだ!よかったらどうかなって思ってね」
と得意げに女の子に店を紹介した。
「そうなんだ!へえー、なんて店?」
「○○駅から徒歩5分くらいにある××ってとこ」
と、店の名前を問われたため、答えたところ
「えー、何この店?食べログ✩2.5じゃん!絶対美味しくないよ!!」
と女の子は不機嫌そうに答えた。
このような会話を繰り広げたことはないだろうか。
僕個人的な話ではあるのだが、あくまでも食べログは料理のプロ、その道のソムリエが評価したわけでもなく、ただの一般人がレビューしているだけであり、その総評価として✩が付くわけである。ここでのポイントは、男は相手のことを”洋食が好き””お酒が好き””バルのような雰囲気が好き”というところまで入念に把握したうえで、実際に店に通い、選び勧めたわけだがこれではあまりにも男が報われないのではないだろうか。
当然ながら、店を選ぶ上での評価を気にするのは別に悪くはない。昨今ではインターネット情報はかなり充実しているからだ。だが、その発言はその男に対してせず、こっそりと見ておけばいいのではないだろうか。誰が書いたかのかも分からないような評価を鵜呑みにするよりか、実際に女の子のために入念に下調べした男の話をまずは聞いてあげるべきではないのだろうかと僕はこの出来事について考えた。
逆の立場になればよくわかるはずである。
例えば、映画や音楽を勧めたところでネットの評価やCD、DVDの売れ行きを見て、その進めてきたことに対してケチを付けられたらたまったものではないのではないか?
本当に良いものとは必ずしも目に見えるものだけが全てではないということをよく理解すべきではないではないだろうか。
目に見えない隠れたものを見つける喜びを互いに共有するというものはとても良いものであることを僕は改めて知ってほしいと思う。